イデルビオン®医療関係者向け情報

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医療関係者向け情報

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臨床成績 日本人を含む国際多施設共同非盲検第Ⅱ/Ⅲ相試験(3001試験)1-3)

(1)試験概要

試験デザイン:
国際、多施設共同(10ヵ国、32施設)、プロスペクティブ、非盲検、第Ⅱ/Ⅲ相試験
目的:
  • ・血友病B患者を対象に、出血抑制(定期補充療法)におけるイデルビオンの有効性及びFⅨインヒビターの発現に関する安全性を評価する。
  • ・外科的サブスタディにおいて、血友病B患者を対象に、術中の出血予防と管理におけるイデルビオンの有効性を評価する。
対象:

12~65歳の重症(FⅨ活性≦2%)血友病B患者 63例(定期補充療法群 40例、オンデマンド療法群 23例)、うち外科的サブスタディ 4例

  • ・FⅨインヒビター発現の既往が確認されていない患者
  • ・FⅨ補充療法を現在受けており、FⅨ製剤の投与日数が150EDを超える患者
  • ・オンデマンド療法を受けていた患者(FⅨ製剤による定期補充療法を受けていない患者)については、過去3~6ヵ月間にわたって非外傷性出血を月に平均2回以上引き起こしたことのある患者
方法:

スクリーニング期間約1ヵ月、PK評価期間最長14日、治療期間12~14ヵ月とした。

治療期間では、定期補充療法又はオンデマンド療法でイデルビオンを投与した後、全例に定期補充療法を行った。

・定期補充療法群:
イデルビオン35~50 IU/kg(75 IU/kgまで増量可)を週1回(7日間隔)で26~30週間投与した後、投与間隔を10日又は14日間隔(いずれも75 IU/kg)に切替え、又は7日間隔を維持し、それぞれの投与間隔における定期補充療法の有効性を比較した。投与量はFⅨ活性のトラフ値を1%以上に維持できるよう調整した。
・オンデマンド療法群:
26週間のオンデマンド療法を行った後、イデルビオン35~50 IU/kg(75 IU/kgまで増量可)の7日間隔の定期補充療法に切替えた。オンデマンド療法と定期補充療法における自然出血発現回数を、同一患者内で比較した。
定期補充療法期間中においても、出血エピソードに対してはオンデマンド療法を行った。

外科的サブスタディとして、試験期間中に、緊急性のない外科手術が必要となった場合、手術時の補充療法として本剤を使用できることとした。

試験デザイン

主要評価項目:
有効性:
オンデマンド療法群でのオンデマンド療法期間と定期補充療法期間における自然出血の年間出血回数(AsBR) ※AsBRは(自然出血エピソードの回数)/(治療期間)×365.25として算出し、Wilcoxon符号付順位和検定を用いて解析した。定期補充療法によるAsBRをオンデマンド療法によるAsBRで割った比率が0.50以上という帰無仮説の検定を片側0.025の有意水準で実施した。
安全性:
ナイメゲン変法を用いたベセスダ測定に基づくインヒビターの発現[インヒビターが検出(0.6BU/mL以上)され、かつ再検査でも検出された場合]
副次評価項目:
有効性:
  • ・止血が得られるまでの投与回数
  • ・4点順序尺度(著効、有効、やや有効、無効/反応なし)に基づいた治験責任医師(又は外科医)による止血効果の総合的臨床評価(出血、周術期止血管理)
  • ・定期補充療法期間中のイデルビオン月間投与量
  • ・定期補充療法群患者のAsBR
安全性:
副作用(本剤に関連する有害事象)の発現頻度、抗体の発現
薬物動態(PK):

イデルビオン50 IU/kg単回投与後のPK[投与30分後の回収率(IR)、血中半減期(t1/2)など]

※FⅨ活性はシリカを含むaPTT試薬を用いた凝固一段法による中央測定により算出し、標準に対する%
[100%=1 IU/mL(100 IU/dL)]とした。

追加の評価項目:
年間出血回数、従来のFⅨ製剤と比較した本剤月間投与量
主要有効性解析集団:
有効性解析集団のうち、オンデマンド療法群に割り付けられ、オンデマンド療法及び定期補充療法としてイデルビオンの投与をそれぞれ1回以上受けた全ての患者 19例
有効性/安全性解析集団:

イデルビオンの投与を1回以上受けた全ての患者 63例

ED:投与日(Exposure day)

ABR:年間出血回数(Annualized bleeding rate)、AsBR:自然出血のABR(Annualized spontaneous bleeding rate)

(2)定期補充療法に対する有効性

1)自然出血の年間出血回数(主要評価項目)

主要有効性解析集団(19例)において、定期補充療法による自然出血の年間出血回数(AsBR)の中央値[第1四分位値(Q1)、第3四分位値(Q3)]は0.00(0.00、0.96)であり、オンデマンド療法からの切替えにより100%(Q1、Q3:90.53、100.00%)有意に減少した(P<0.0001、Wilcoxon符号付順位和検定)。
日本人の主要有効性解析集団(3例)において、定期補充療法による自然出血の年間出血回数の中央値は、1.58(0.00、2.31)であり、オンデマンド療法からの切替えにより90.53%(Q1、Q3:88.23、100.00%)減少した(AsBRの差に関する統計学的解析は実施せず)。

自然出血の年間出血回数(AsBR)

自然出血の年間出血回数(AsBR)

2)定期補充療法における出血の種類別年間出血回数(副次/追加の評価項目)

定期補充療法群における自然出血の年間出血回数(AsBR)の中央値は、7日及び14日間隔のいずれの投与レジメンでも0.00であった。14日間隔の定期補充療法中のAsBRは、7日間隔(週1回)レジメンに対して非劣性[95%信頼区間(CI)の下限>−6]であり、その平均差は−0.79(95%CI:−1.78、0.20)であった。
一方、日本人の有効性解析においては、患者数が少なかったため非劣性の評価は不可能であったが、AsBRの結果は全体集団と一致していた。

出血の種類別年間出血回数

  全体の有効性解析集団 日本人有効性解析集団
年間出血回数
(件/年/例)
定期補充療法群 7日間隔の定期
補充療法の合計
(N=59)
定期補充療法群 7日間隔の定期
補充療法の合計
(N=9)
7日間隔
(N=40)
14日間隔
(N=21)
7日間隔
(N=6)
14日間隔
(N=2)
総出血(総ABR)
 平均値(SD)
 中央値
 (Q1、Q3)

1.24(1.78)
0.00
(0.00、1.87)

1.96(2.65)
1.08
(0.00、2.70)

1.76(3.21)
0.61
(0.00、2.57)

2.22(2.41)
1.89
(0.00、3.59)

1.35(0.76)
1.35
(0.81、1.89)

1.91(2.05)
1.58
(0.00、3.14)
自然出血(AsBR)
 平均値(SD)
 中央値
 (Q1、Q3)

0.52(1.12)
0.00
(0.00、0.00)

1.07(2.11)
0.00
(0.00、1.00)

0.59(1.14)
0.00
(0.00、0.75)

1.97(1.99)
1.89
(0.00、3.59)

0.41(0.58)
0.41
(0.00、0.81)

1.75(1.71)
1.58
(0.00、3.14)
関節内出血
 平均値(SD)
 中央値
 (Q1、Q3)

0.89(1.44)
0.00
(0.00、1.53)

1.42(2.71)
0.00
(0.00、1.04)

1.39(2.48)
0.00
(0.00、2.30)

1.87(2.09)
1.57
(0.00、3.59)

0.88(0.09)
0.88
(0.81、0.95)

1.68(1.78)
1.58
(0.00、3.14)

3)定期補充療法期間中のイデルビオン投与量(副次/追加の評価項目)

定期補充療法期間におけるイデルビオンの平均月間投与量[標準偏差(SD)]は、7日及び14日間隔でそれぞれ202.7(47.9) IU/kg及び157.4(16.3) IU/kgであり、従来のFⅨ製剤の月間投与量[320.7(208.8) IU/kg]より減少していた。
一方、日本人患者におけるイデルビオンの平均月間投与量(SD)は、7日間隔の合計(9例)で181.7(36.2) IU/kgであった。

定期補充療法期間中のイデルビオン月間投与量

定期補充療法期間中のイデルビオン月間投与量

(3)出血時の止血に対する有効性

1)止血が得られるまでのイデルビオン投与回数(副次評価項目)

有効性解析集(63例において治療を要した出血エピソード数は合計358件であった。このうち353件はイデルビオンの1回又は2回投与で止血が得られ出血エピソードに対する治療成功確率(95%CI)は98.6(96.2、99.5)%であった。止血を得るのに要した1回当たりのイデルビオン投与量の中央(Q1、Q3は46.7(37.6、53.0 IU/kgであった。
また、日本人有効性解析集団(10例)において、治療を要した出血エピソード数は合計50件であった。このうち48件(96.0%)はイデルビオンの1回又は2回投与で止血が得られ、止血を得るのに要した1回当たりのイデルビオン投与量の中央(Q1Q3は40.7(35.2、50.0 IU/kgであった。

※1~2回の投与で止血を得られる確率。繰り返し測定モデルにより求めてパーセント値で表した。

止血を得るのに要したイデルビオンの投与回数

止血を得るのに要したイデルビオンの投与回数

2)出血に対する止血効果の臨床評価(副次評価項目)

有効性解析集団(63例)において、治験責任医師による出血エピソードに対するイデルビオンの止血効果の臨床評価は、大部分が「著効」(297/358件、83.0%)もしくは「有効」(40/358件、11.2%)であり、重大な出血エピソードはなかった。
日本人有効性解析集団(10例)においても、出血エピソードの大多数で「著効」(40/50件、80.0%)又は「有効」(8/50件、16.0%)であり、重大な出血エピソードはなかった。

治験責任医師による出血に対する止血効果の総合的な臨床評価

治験責任医師による出血に対する止血効果の総合的な臨床評価

[評価基準]

著効:
初回投与24時間後に、疼痛の軽減及び/又は他覚的な出血症状が明らかに改善し、かつ、止血の達成のための追加投与が不要である。
有効:
初回投与24時間後に、明らかな疼痛の軽減及び/又は出血症状が改善したが、止血の達成には2回目の投与を必要とした。
やや有効:
初回投与24時間後に、疼痛が軽減及び/又は出血症状がおそらく又はわずかに改善したが、止血の達成にはさらに2回以上の投与を必要とした。
無効/反応なし:
初回投与24時間後に、改善がなかった、又は症状の悪化を認め、止血の達成には他のFⅨ製剤又は血漿製剤の投与を必要とした。

(4)周術期止血管理に対する有効性(副次評価項目)

4例が6件の手術を受けた。内訳は、両乳房切除及び人工膝関節全置換術2回(1例で3回の手術を施行)、痔核切除(1例)、抜智歯(1例)及び抜歯(1例)であった。全ての症例が手術前にイデルビオンの投与を1回受けた。
創閉鎖時及び外科的サブスタディの終了時点(術後14日)に治験責任医師が評価した止血効果は、全ての手術において「著効」又は「有効」であった。 なお、日本人の症例はなかった。
14日間の術後期間中の投与回数は、手術を受けた全ての患者の合計で21回であり、手術時(手術前から術後336時間後まで)のイデルビオンの総使用量の中央値(Q1、Q3)は217(179、340) IU/kgであった。

[評価基準]

著効:
臨床的止血が正常(非血友病患者の同様の手術で予想される止血達成)と明らかに違わない、又は、術中失血量が予想される失血量の120%を超えない。
有効:
量的及び/又は質的に、正常~軽度の止血の異常(軽度のoozing、非血友病患者との比較における失血量の増加と止血までの時間の延長)を示す、又は、術中失血量が予想される失血量の120%より多く130%以下である。
やや有効:
量的及び/又は質的に、中等度の止血の異常(制御が困難な中等度の出血)を示し、術中失血量が「有効」で規定した基準より多い。
無効/反応なし:
量的及び/又は質的に、重度の止血の異常(制御が困難な重度の出血)を示し、かつ/又は、完全な止血のためには他のFⅨ製剤又は血漿製剤の投与による追加の止血処理を必要とする。

(5)安全性

1)インヒビター及び抗体(主要/副次評価項目)

安全性解析集団においてインヒビターの発現率は0%(95%CI:0.0、5.7%)であった。イデルビオン又はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)宿主細胞由来タンパク質に対する抗体の発現が報告された症例はなかった。日本人症例においても、インヒビターの発現は認められなかった。

2)有害事象及び副作用(副次評価項目)

安全性解析集団63例中5例(7.9%)11件[発疹(5件)、頭痛(2件)、湿疹、浮動性めまい、注射部位血腫及び過敏症(各1件)]に副作用が認められた。これらの副作用の重症度は全て軽度又は中等度であった。うち2例(頭痛及び過敏症)が副作用のため投与中止に至った。
日本人安全性解析集団10例中1例(10.0%)3件[頭痛(2件)、湿疹(1件)]が副作用と判断された。これらの副作用の重症度は軽度又は中等度であった。同症例は頭痛のため投与中止に至った。

1)社内資料:日本人を含む国際多施設共同非盲検第Ⅱ/Ⅲ相試験(3001試験)(承認時評価資料)

2)Santagostino E et al.: Blood. 2016; 127(14): 1761-1769
本研究はCSLベーリングの支援により行われ、本論文著者のうち4名はCSLベーリングから講演料、コンサルタント料などを受け取っており、本論文著者のうち3名はCSLベーリングの社員である。

3)Negrier C et al.: Haemophilia. 2016; 22(4): e259-e266
本研究はCSLベーリングの支援により行われ、本論文著者のうち4名はCSLベーリングから講演料、コンサルタント料などを受け取っており、本論文著者のうち4名はCSLベーリングの社員である。

【用法及び用量】
本剤を添付の溶解液全量で溶解し、緩徐に静脈内に注射する。
通常、1回体重1kg当たり50国際単位を投与するが、患者の状態に応じて適宜増減する。
定期的に投与する場合、通常、体重1kg当たり35~50国際単位を7日に1回投与する。また、患者の状態に応じて、体重1kg当たり75国際単位の14日に1回投与に変更することもできる。なお、いずれの投与間隔においても投与量は適宜調節するが、1回体重1kg当たり75国際単位を超えないこと。